次世代自動車としては電気自動車が主流をなすと考えられますが今後10年に限るとエンジンも効率化を図り進化するでしょう。20年後については現在から推測することは困難であまり意味もありません。
今後の電気自動車の記事については日経automotive、次世代自動車2019(日経ビジネス)、2020年版電動化車両・関連部品市場の現状と将来予測(総合技研)、2020年版電気自動車関連市場の最新動向と将来予測(総合プラニング/SG総研/TMリサーチ)を参照しました。
素材についても車体から窓ガラスまで改良が予想されています。しかし、いずれの文献にもタイヤについての記載はありませんでした。タイヤは単なる車体を乗せるだけの材料ではなく、車を安全に快適に無駄なエネルギーを使わず目的地まで届ける重要な部品です。
EV化とタイヤに関する関心は薄いようですがEV化はタイヤ・ゴムを一段と進化させる機会のように思われます。
引用:EV新時代にトヨタは生き残れるか、桃田健史、株式会社洋泉社、(2017)
最初に時速100km/hrを達成した電気自動車
電気自動車はガソリン車に取って代わってEVだけの時代は来るのでしょうか。どこまでEVが進歩するかにより、最終的にはユーザーが決めるでしょう。
かつてEVが40%も市場を占めていた時代がありました。1900年頃のアメリカではEVが約40%もあり、残り約40%は蒸気自動車で、エンジン車は20%程度でした。その後T型フォードのエンジン車が出て来てエンジン車が主流になりました。
EVの欠点は基本的に今と変わりません。充電に時間がかかり、走行距離が短いことでした。5分で充電できて、500km走行でき、車体が20%軽くなり、バッテリーが10年間以上使用でき、価格がエンジン車と同等以下になればEVが主流になるでしょう。
現段階では充電時間が許容でき、走行距離も長くない使い方の、軽自動車のような用途のEV化は伸びると思います。
次にEVの課題について整理しました。
高性能で高価なTESLAから大衆車の宏光MINI EV まで次世代EVが出てきました。それぞれタイヤに要求する性能は異なり、大きく3種に分類しました。それぞれのEVのタイヤとそのゴムに対する要求項目を以下のようにまとめました。
表 EV用タイヤの要求性能
EVもタイプによって使われ方と性能が大きく変わり、高級車・スポーツ車はエンジン車を上回る性能を持ち、重たい車体を急加速するためタイヤに対する負荷は極めて大きくなります。タイヤも大きな負荷に応じた性能のものでないと事故の要因になります。
また、タイヤの低燃費性能はEVではエンジン車より効果が大きくなり重要になります。
次のような報告があります。
電気自動車もガソリン車もタイヤに要求される性能は基本的には同じようです。しかし、電気自動車特有の性能の違いがあります。ガソリン車より動力が静かなためにタイヤの出す音の改善が求められます。また、ガソリン車以上に一回あたりの充電で走行できる距離が短いため小型車や軽自動車では低燃費性能を、そして大型のスポーツカーや高性能高級車ではガソリン車以上に耐摩耗性と耐偏摩耗性を要求されるでしょう。EV化によってタイヤも変わるように思われます。
次の節では各社の電気自動車用タイヤについてネット情報、文献や特許などの調査結果を報告します。
なお、本稿は執筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等の見解ではありません。