はじめに

CO2削減とEV化にはその国での発電と関係があり、日本のように火力発電が主体の国ではハイブリッド車の方がEVよりCO2削減の効果が大きいことが分かりました。

次世代車としてはEVだけではなく他の車も提案されています。そこで次世代車について調べEVについても調べてみました。また、EVになるとタイヤは変わるのか、今のままでよいのかについても考察してみました。

目次

次世代自動車の種類と特長 電気自動車


次世代自動車としては電気を動力源にするモーターとエンジンで動く車に分けられます。そして電気を使用した次世代自動車としては以下のものがあります。

(参照)桃田健史著、エコカ一世界大戦争の勝者は誰だ?ダイヤモンド社(2009) )

桃田氏の資料をベースに著者がまとめてみました。

表 次世代自動車 モーター駆動

次世代自動車の種類と特長 エンジン車

エンジンで動く次世代自動車としては下記のものも検討されています。農産物由来のエタノール100%で走るエンジン車はCO2の発生はないとみなされます。エンジン車も燃焼効率50%以上を目指して改良研究しており環境への負担は少なくなります。

表 次世代自動車 エンジン駆動

さて、どの次世代自動車が生き残るのでしょうか?著者桃田氏によると「分からない」とのことです。
最終的に決めるのは消費者でしょう。

世界の自動車のEV化の動き


主要国では2030年頃からガソリン自動車が禁止の模様です。国による温度差は大きく、その時の政治家に依存しているようです。また、トラックについては議論が少ないようです。

東京都は現状のままEV化すると火力発電からCO2の排出が増えることを認識しているのでしょうか。

表 エンジン車規制

エンジン車規制

EVの種類と伸びの予想


表 電気自動車セグメント

電気自動車セグメント

将来主流になると言われているEVについて調べてみました。車の大きさは使われ方と関連しているので大きさで分類されています。EVの分類セグメントとしてボディーサイズによる分類としては以下のように決められいます。

引用:2020年版 電動化車両・関連部品市場の現状と将来予測、総合技研


EV化で中国は国策としてEVなど新エネルギー車の普及促進、EV産業育成に注力しました。目標の2020年までに年間⽣産台数200万台は達成できませんでした。しかし、宏光MINI EV などのAセグメント(全長3.70m以下)の車を中心に急激にEV化が進んできています。 世界的にみてRenault ZoeやBMW i3のようにBセグメントが人気車となっています。一方、Tesla はD・E・Lセグメント、日産はCセグメントで展開してます。

個人的には手軽なEVはA.Bセグメント中心となり、小型コンパクトカーが主力となると思います。

各国各社のEV戦略 中国


EV化が進んでいる中国の状況を調べてみました。

中国での状況
中国国務院が2012年に発表した新エネルギー車に関する長期計画では、2020年までに年間生産台数200万台、国内保有台数500万台を目指すとしていました。だが、この目標の達成は難しかったようです。 一方、中国政府は2020年7月から、農村部で電気自動車(EV)などの普及を後押しする「新エネルギー車下郷」と呼ぶキャンペーンを開始しました。

引用:中国政府が農村で「新エネルギー車」普及後押し、東洋経済、2020年12月2日

中国の中堅自動車メーカーの上汽通用五菱汽車が昨年7月に発売した⼩型の電気自動車「宏光MINI EV」が爆発的に売れ、業界の注目を集めています。「宏光MINI EV」の昨年9月1カ月の販売台数は2万台を超えました。それまで電気自動車販売台数のトップを走っていた「TESLAモデル3」を⼀気に追い抜き、2倍近い差をつけてトップになりました。「TESLAモデル3」の販売価格は25〜40万元、日本円で400~650万円、かたや「宏光MINI EV」は50万円です。

引用:次世代中国 テスラを抜いた「中国版軽自動車」 電気自動車に「ついに波が来た」か、nec wisdom、田中信彦、2020年10月29日

中国でのEV販売の予想


総合プラニングによると中国でのEVは2025年頃から急速に台数を増やし2030年代前半には1000万台を超えると予想しています。宏光MINI EVのような軽自動車EVが伸びれば、この予測より早く達成する可能性があります。

図 中国でのEVとPHVの予測

中国の宏光MINI EV


表 宏光MINI EV

中国で最も売れている宏光MINI EVは全長2.917mのセグメントAの4人乗りで50万円以下の大衆車です。このような車は今後日本でも増えると思われますが日本では50万円以下で製造することは難しいように思われます。

このような小型車は日本でもセカンドカーとして適しているように思われます。


【タイヤについて】
タイヤについて考えると経済的なEV軽自動車を求める人は安くて燃費性能の良い軽量タイヤを求めるでしょう。このような車には中島幸雄教授の提案しているダウンサイジングタイヤ(後節で説明します。)が適しているように思われます。

欧米日のEV戦略


ヨーロッパのVWのID.3やグループPSAのe-208などはエンジン車並みの総所有コスト(TCO=total Cost of Ownership)を重視して低価格化を追求しています。

一方、日産のアリアは性能・装備・快適性重視であり最上位グレードでは、停止から100km/hまでの加速時聞が最短5.1秒とI(同社のスポーツ車フェアレディZに匹敵する加速性能を実現しています。日本仕様の車両価格は約500万円からと高価になります。 ホンダのHonda e は独自の新世代EVに位置づけられ、車室空聞をしっかりと確保しながら、最小回転半径を4.3mと軽自動車よりも小さくなっています。モーターにはV型6気筒3Lエンジン相当の高トルク品を採用しています。同モーターを後部に搭載して後輪を駆動することで、50:50の前後重量配分を実現し、エンジン車では達成が難しいパワフルできびきびと走る小回りの利くクルマに仕立て上げられています。

TESLAのEVは500万円~700万円と高額で0~100km/hの時間は3.3秒~5秒と高性能になっています。

全てのメーカーが特定の性能と価格バランスの製品だけではなく、TCOを重視した車からエンジン車の性能を超えた高性能EV車まで各社の戦略に基づいた価格と性能を持ったEV車を展開しています。

引用:日経 Automotive 2020, 10

欧米日のEV戦略 VW(ID.3)のTCOの比較


TCOを重視しているVWの例を挙げます。VWのID.3は補助金を入れるとガソリン車並みの購入価格になり、日々の運用コストは若干安くなります。利用者の経済的負担がないように価格設定しています。

引用:日経 Automotive 2020, 10


図 EVとエンジン車の価格比較

ID.3およびID.3と同格のエンジン(ICE)車の取得コスト比較すると環境ボーナスを加味し、ID.3の方か‘安くなります。


 


図 EVとエンジン車のランニングコスト比較

ID.3と同格のエンジン(ICE)車のTCO比較 運用コストが一月当たり70ユーロ安い。

【タイヤについて】
タイヤについて考えるとTCOを重視するユーザーは経済的な負担軽減のために低燃費性の優れたタイヤを求めると思われます。

米国TESLA車の戦略 高性能のEV車


TESLAのModel3の性能は日産のアリア以上の加速性能を持ち、ガソリン車のスポーツカー以上の高度な加速性能と最高速度の仕様になっています。EVによってさらに高性能になった車を楽しむ性能と価格バランスになっています。

引用:テスラジャパン ホームページより

表 テスラModel 3

【タイヤについて】
しかし、タイヤに関してTESLAの高い加速性能と重い車体のためにタイヤの摩耗は激しく、かつ内側が偏摩耗するとのレポートがあります。

引用:Emotionブログ(2019/6/14

EV車用タイヤの課題


高性能の高価なTESLAから大衆車の宏光MINI EV まで色々な次世代EVが出てきました。大きく分けると三種類に分けられます。大型車で高性能のスポーツ車、小型車でファミリー層が使用する車と軽自動車でセカンドカーや大衆車として使用される車です。それぞれタイヤに要求する性能は異なり、タイヤとそのゴムに対する要求項目は以下のようにまとめました。

表 EVの種類と要求項目

タイヤに対する課題と対策については別途詳しく検討します。

参考 高出力高性能車とタイヤの耐久性能


TESLAのような高出力高性能EV車が出てきているがタイヤに対する負荷を考えた。0~100km/hの時間が半分になると平均速度は2倍になります。

運動のエネルギーEは
E=1/2MV² (M=質量、V=速度)
であり速度が2倍になるとエネルギーは4倍になります。

これに車体が20%増加するとすればエネルギーは1.2×4=4.8となり 約5倍のエネルギーがかかります。

また、高出力高性能のスポーツタイプの車は車高が低くなっています。車高が低いとタイヤと車体の取り付けのキャンバー⾓がネガティブ⽅向につき、タイヤが⾞体内側に倒れこみます。この時タイヤと地⾯の「接地⾯」が「点」に近くなることでタイヤの摩耗が激しくなるのです。

引用:Emotion ブログ, 2019/8/14

テスラに限らず高性能のEV車はタイヤの負担が大きくなり、バーストの危険性は高くなります。従ってタイヤの保守管理が重要になります。

参考 Emotionブログ、思わぬ落とし⽳!テスラは思った以上にタイヤが減る?


図 タイヤの取り付け角度

ネガティブな設定でタイヤの内側に力がかかり摩耗します。


 

図 偏摩耗したタイヤ

タイヤの内側が摩耗して溝が無くなり、外側の溝は残っています。
内側の摩耗が進むとバーストします。

引用:Emotionブログ、思わぬ落とし⽳!テスラは思った以上にタイヤが減る?https://vr46tesla.com/2019/08/14/post-1029/


電気自動車の拡大


電気自動車(EV)ついては毎日ニュースになっています。思惑でテスラの株価が上がったり下がったりして話題になっています。しかし、電気自動車によって運転が楽になり、便利になる一方、地球環境の保全やCO2削減などの趣旨から離れたEVによる高出力高性能に偏った動きも見られます。

高出力EVによってタイヤの負担は大きくなり偏摩耗のように事故に繋がる恐れがあることが分かりました。タイヤとゴム材料については別途検証を行います。

いろいろなタイプのEVが出て来ています。現在の状況を見ていると全ての自動車がEVに変わるようにも思われません。次節ではエンジン車は無くなるのか、今後10年間の予想について調べてみました。

【第3回】エンジン車は無くなるのか、素材は変わるのか≫

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