CO2削減とEV化にはその国での発電と関係があり、日本のように火力発電が主体の国ではハイブリッド車の方がEVよりCO2削減の効果が大きいことが分かりました。
次世代車としてはEVだけではなく他の車も提案されています。そこで次世代車について調べEVについても調べてみました。また、EVになるとタイヤは変わるのか、今のままでよいのかについても考察してみました。
表 電気自動車セグメント
将来主流になると言われているEVについて調べてみました。車の大きさは使われ方と関連しているので大きさで分類されています。EVの分類セグメントとしてボディーサイズによる分類としては以下のように決められいます。
引用:2020年版 電動化車両・関連部品市場の現状と将来予測、総合技研
EV化で中国は国策としてEVなど新エネルギー車の普及促進、EV産業育成に注力しました。目標の2020年までに年間⽣産台数200万台は達成できませんでした。しかし、宏光MINI EV などのAセグメント(全長3.70m以下)の車を中心に急激にEV化が進んできています。 世界的にみてRenault ZoeやBMW i3のようにBセグメントが人気車となっています。一方、Tesla はD・E・Lセグメント、日産はCセグメントで展開してます。
個人的には手軽なEVはA.Bセグメント中心となり、小型コンパクトカーが主力となると思います。
EV化が進んでいる中国の状況を調べてみました。
中国での状況
中国国務院が2012年に発表した新エネルギー車に関する長期計画では、2020年までに年間生産台数200万台、国内保有台数500万台を目指すとしていました。だが、この目標の達成は難しかったようです。 一方、中国政府は2020年7月から、農村部で電気自動車(EV)などの普及を後押しする「新エネルギー車下郷」と呼ぶキャンペーンを開始しました。
引用:中国政府が農村で「新エネルギー車」普及後押し、東洋経済、2020年12月2日
中国の中堅自動車メーカーの上汽通用五菱汽車が昨年7月に発売した⼩型の電気自動車「宏光MINI EV」が爆発的に売れ、業界の注目を集めています。「宏光MINI EV」の昨年9月1カ月の販売台数は2万台を超えました。それまで電気自動車販売台数のトップを走っていた「TESLAモデル3」を⼀気に追い抜き、2倍近い差をつけてトップになりました。「TESLAモデル3」の販売価格は25〜40万元、日本円で400~650万円、かたや「宏光MINI EV」は50万円です。
引用:次世代中国 テスラを抜いた「中国版軽自動車」 電気自動車に「ついに波が来た」か、nec wisdom、田中信彦、2020年10月29日
ヨーロッパのVWのID.3やグループPSAのe-208などはエンジン車並みの総所有コスト(TCO=total Cost of Ownership)を重視して低価格化を追求しています。
一方、日産のアリアは性能・装備・快適性重視であり最上位グレードでは、停止から100km/hまでの加速時聞が最短5.1秒とI(同社のスポーツ車フェアレディZに匹敵する加速性能を実現しています。日本仕様の車両価格は約500万円からと高価になります。 ホンダのHonda e は独自の新世代EVに位置づけられ、車室空聞をしっかりと確保しながら、最小回転半径を4.3mと軽自動車よりも小さくなっています。モーターにはV型6気筒3Lエンジン相当の高トルク品を採用しています。同モーターを後部に搭載して後輪を駆動することで、50:50の前後重量配分を実現し、エンジン車では達成が難しいパワフルできびきびと走る小回りの利くクルマに仕立て上げられています。
TESLAのEVは500万円~700万円と高額で0~100km/hの時間は3.3秒~5秒と高性能になっています。
全てのメーカーが特定の性能と価格バランスの製品だけではなく、TCOを重視した車からエンジン車の性能を超えた高性能EV車まで各社の戦略に基づいた価格と性能を持ったEV車を展開しています。
引用:日経 Automotive 2020, 10
TCOを重視しているVWの例を挙げます。VWのID.3は補助金を入れるとガソリン車並みの購入価格になり、日々の運用コストは若干安くなります。利用者の経済的負担がないように価格設定しています。
引用:日経 Automotive 2020, 10
図 EVとエンジン車の価格比較
ID.3およびID.3と同格のエンジン(ICE)車の取得コスト比較すると環境ボーナスを加味し、ID.3の方か‘安くなります。
図 EVとエンジン車のランニングコスト比較
ID.3と同格のエンジン(ICE)車のTCO比較 運用コストが一月当たり70ユーロ安い。
【タイヤについて】
タイヤについて考えるとTCOを重視するユーザーは経済的な負担軽減のために低燃費性の優れたタイヤを求めると思われます。
TESLAのような高出力高性能EV車が出てきているがタイヤに対する負荷を考えた。0~100km/hの時間が半分になると平均速度は2倍になります。
運動のエネルギーEは
E=1/2MV² (M=質量、V=速度)
であり速度が2倍になるとエネルギーは4倍になります。
これに車体が20%増加するとすればエネルギーは1.2×4=4.8となり 約5倍のエネルギーがかかります。
また、高出力高性能のスポーツタイプの車は車高が低くなっています。車高が低いとタイヤと車体の取り付けのキャンバー⾓がネガティブ⽅向につき、タイヤが⾞体内側に倒れこみます。この時タイヤと地⾯の「接地⾯」が「点」に近くなることでタイヤの摩耗が激しくなるのです。
引用:Emotion ブログ, 2019/8/14
テスラに限らず高性能のEV車はタイヤの負担が大きくなり、バーストの危険性は高くなります。従ってタイヤの保守管理が重要になります。
電気自動車(EV)ついては毎日ニュースになっています。思惑でテスラの株価が上がったり下がったりして話題になっています。しかし、電気自動車によって運転が楽になり、便利になる一方、地球環境の保全やCO2削減などの趣旨から離れたEVによる高出力高性能に偏った動きも見られます。
高出力EVによってタイヤの負担は大きくなり偏摩耗のように事故に繋がる恐れがあることが分かりました。タイヤとゴム材料については別途検証を行います。
いろいろなタイプのEVが出て来ています。現在の状況を見ていると全ての自動車がEVに変わるようにも思われません。次節ではエンジン車は無くなるのか、今後10年間の予想について調べてみました。