はじめに

地球環境の変化が言われ始めて以来、とりわけ温暖化の原因としてCO2の増加が原因と言われています。CO2を削減するために、CO2を削減には「乗用車を排ガスの出ないEVに変えるべきだ」との議論があります。

しかし、EVの電源となっているのは発電であり、発電所が非効率な火力発電であればCO2の発生を抑えゼロにすることはできません。EVに変えることによってCO2を削減することはできません。そこで発電所の現状はどうなっているのか調べてみました。

目次

地球温暖化とCO2削減


CO2の発生量について比較するためEVの元となる電力の発電方法を調べてみました。世界では石炭石油や天然ガスを燃やして発電する国が多くあります。これらの国ではEV化によって必ずしもCO2は減少される訳ではありません。EVを充電する電力源は国によって大きく異なっています。

主な国の発電方法

主な国の発電方法一覧

フランスでは原子力が主体であり日本や中国では火力発電が主体です。再生エネルギーはCO2の発生は少なく環境にとって良いエネルギー源ですが、発電効率18%と極めて低い。再生エネルギーを増やすだけでなく再生可能エネルギーの効率を高めることも重要です。
引用:経済産業省資料 energy_in_japan_for_school_2

発電量とCO2の現状


電力1kWhを発電するために発生するCO2の量はフランスが少なく、火力発電を主体とする日本や中国は多くなります。しかし、発電の効率から見ると原子力発電は効率が低く大量の熱を放出して地球を温めています。水力発電の多いカナダはCO2の発生は少なく、発電の効率は高くなっています。

電力1kWh発電するためのCO2の発生量 (g/kWh)

電力1kWh発電するためのCO2の発生量 (g/kWh)図

引用:関西電力ホームページ 再⽣可能エネルギーへの取組み ⽔⼒発電の概要(出典 エネルギー大辞典)

発電の効率(%)

発電の効率(%)図

各国の発電効率(%)

各国の発電効率(%)図

引用:関西電力ホームページ 再⽣可能エネルギーへの取組み 各種電源別のライフサイクルCO2の排出量(出典 原子力・エネルギー図面集 (2017)

CO2発生量の計算ベースの変更  Well-to-WheelからLCA


各国は自国の有利になるように持続的な環境保全を主張しているように思われます。

計算の基準もTank-to-Wheel, Well-to-WheelからLCA (Life Cycle Assessment)に変わり、自動車のライフサイクル全体で、CO2排出量を評価するように変わります。エンジンの効率化の研究についても加速し、現時点では最高40%の燃焼効率を越え、50%を目指して改良研究されています。

Tank-to-Wheel, Well-to-Wheel
引用:日経automotive2020年5月号

最も少ないCO2の発生はEVかHEV(ハイブリッド)か?


ライフサイクルCO2排出量グラフ

トヨタは2019年5月、2030年を想定した日本と欧州におけるパワートレーン別のCO2排出量をLCAベースで試算しました。

発電のCO2排出量が多い日本では、2030年段階でHEV(ハイブリッド車)のCO2排出量がEVを下回りました。

一方、再生エネルギーが普及した発電のCO2排出量が少ない欧州ではEVがHEVを下回る結果となりました。

引用:日経automotive2019年10月号

各国の発電源の状況によって最少のCO2発生は異なり、EVが必ずしも最も少なくなる訳ではないようです。

なぜEVなのか?


自動車の将来は環境問題からEVに変わるように言われている。しかし、それぞれの国の電力状況によって変わり、日本、中国とアメリカのように火力発電の割合が高い国でのEV化はCO2の発生を最少にするものではありません。CO2の発生を最少にするにはその国の電力状況に合わせて改善する必要があります。

原子力はCO2の発生はないが発電で多くの無駄なエネルギーを熱にして大気に放出しています。地球の温暖化の観点から見ると原子力も有効ではありません。

再生エネルギーの発電効率は現状では極めて低いようです。エネルギーロスは地球の温暖化には影響しませんが効率を高めることで採算が改善され、電力の主役になることができます。

自動車だけでなく公共の発電から産業用エネルギー、家庭でのエネルギーまで根本的に見直し対策する必要があるのではないでしょうか。CO2の発生源について資源エネルギー庁の資料を見てみました。

CO2排出と疑問点


資源エネルギー庁資料より
CO2排出割合円グラフ

日本の資源エネルギー庁の資料を元に乗用車のCO2排出割合を調べました。乗用車からのCO2排出は約18%であり、トラックなどは約13%もあります。現在EV化は乗用車に対してCO2削減のために進められています。しかし、企業・事業所からの排出量が圧倒的に多いにも関わらず、何故企業・事業所からのCO2削減を進めないのでしょうか?

低燃費タイヤについても乗用車では競って新製品が出されていますが、トラックについてはほとんど低燃費を謳った製品が出ていません。トラックから排出されるCO2は削減対象にならないのでしょうか?


CO2削減についてはまだまだ分からないことがあります。 CO2の排出量の多い国を調べてみました。

CO2排出の多い国はどこか


2014年の資料ですがこの時点で中国が一番多く、アメリカは二番でした。現在はもっと中国が多くなっているでしょう。

世界のエネルギー起源CO2排出量(2014年)図
引用:IEA 「CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION」2016 元に環境省作成資料より

CO2削減とEV化についてはまだ分からないことが多くありますが本論であるタイヤ・ゴムについての影響調査を進めます。

【第2回】次世代自動車と電気自動車≫

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