6月、中国のSBR市場価格は3月から続く高値圏で推移した後更に上昇し、2018年以来の新高値を記録した。SBR価格は引き続き高値圏で推移する可能性があると予測される。しかし、需要の減少によりSBR価格の上昇トレンドは鈍化する可能性がある。

【6月、SBR価格は2018年以来の高値を更新】

6月、中国のSBR相場は3月からの横ばいから上昇し、2018年以来の高値を更新した。6月7日現在、華北のESBR 1502の市場価格は15,250元/㌧で引け、前取引日より7％の上昇であった。合成ゴム先物価格は予想以上に上昇し、原料ブタジエン価格は前取引日より800元/トン上昇した。6月7日はタイヤメーカーである川下企業のSBR高値に対する抵抗が強く、売買が成立しなかった。また、トレーダーは安値で商品を売らず、一部の業者は様子見ムードの中、売りを止めた。

【今後の予想】

SCIはSBR価格が主にコスト高を背景に高値圏で推移すると見ている。一方で、需要の減少が予想されるため、SBR価格の上昇傾向は鈍化する可能性もある。
コスト面では、中国のブタジエン市況は高値圏で推移する可能性が高い。中国ではメンテナンス中のブタジエンプラントの一部が順次再稼働する見込みだが、増産は限定的かもしれない。また、一部のタイヤメーカーの再稼働に伴い、中国東北部のブタジエンメーカーのスポット外販量は減少すると予想される。このため、供給不足がブタジエン価格を下支えする可能性は依然として高い。需要に関しては、多くの合成ゴムなどのブタジエンユーザーはブタジエン価格の高騰に抵抗しており、硬直した需給状況でブタジエンを購入する可能性がある。しかし、一部の川下企業は生産を再開する見込みである。需要の回復はブタジエン市況を押し上げるだろう。また、ブタジエン業界の稼働率が安定していることから、ブタジエン価格は上昇トレンドを維持する可能性がある。ブタジエンはSBRの主原料であるため、ブタジエン価格の上昇がSBR価格を押し上げる可能性が高い。
需要面では、タイヤ完成品の在庫が6月に急増する可能性が高い。高いコスト圧力を考慮すると、ほとんどのタイヤ企業はまず在庫を消費し、稼働率を緩やかに下げると予想される。そのため、原料SBRの消費量は減少傾向にあり、SBR価格の上昇傾向が鈍化する可能性がある。

天然ゴム価格については、STR20の天然ゴムは5月14日にSBRより25元/トン高くなり始めた。5月31日にはSTR20の天然ゴムはSBRより700元/トン高くなった。しかし、6月7日のSTR20の価格はSBRより75元高いだけであった。タイヤメーカー用途の代替需要の観点から、両者の価格差は拡大するほどSBR市場価格上昇の雰囲気を高め、縮小するほどSBR市場価格は上昇を抑えるという関係性にある。SBR価格の大幅な上昇を考慮すると、天然ゴムとSBRの価格差の縮小は顕著であり、SBR価格を下支えする要因は限定的である。今後のスプレッドの変化に注意が必要である。