4月、中国のPBR輸出入量は前月比で増加を続けた。本報では、4月のPBR輸出入の変化とその理由を分析する。
GACC(中華人民共和国海関総署)によると、2024年4月のPBR輸入量は27,998.47トンで、前月比14.05%増、前年同月比26.34%増であった。全体として、4月の輸入量は年間を通じて過去最高を記録した。第2四半期以降、PBR生産者は高い利益損失に直面していたが、コスト増と川下のゴム加工産業に対してムーズに値上げできないため、PBRプラントを低操業率で運転している。その上、ほとんどのプラントのメンテナンスが5月末まで続くと予想され、中国製PBRの供給は4月にやや逼迫した。さらに、春節連休後の中国産PBR価格は13,000元/トンを上回ることが多かった。川下ユーザーは高価格のPBRに抵抗感を示し、購入を遅らせた。そのため、川下ゴム加工ユーザーはコスト削減のために輸入PBRを求め、1月から4月にかけてPBR輸入が継続的に増加した。
輸出に関しては、GACC によると、4 月の中国の PBR 輸出量は 20,693.72 トンであり、前月比 5.35%増、前年同月比 46.84%増であった。一方、中国の川下のゴム加工産業の消費は第2四半期に減少傾向にあり、特にオールスチールタイヤ(トラックバス用タイヤ)産業の消費が減少したため、中国での供給ギャップは輸入品によって埋められることになった。PBRの余剰品は他国に輸出された。一方、東南アジアの需要は堅調に増加した。輸入エネルギーとブタジエンの価格は高く、中国製品に価格優位性を与えた。このため、輸出商社は積極的になり輸出量が増加した。
輸入構造の変化は限定的で、ロシアの輸入比率が1位となった。
GACCによると、4月のPBR輸入量はロシア、韓国、U.A.E.がトップ3であった。ロシアからのPBR輸入量は約15,480.02トンで、前年同月比53.63%増、全体の約55%を占め、第1位となった。韓国からの輸入量は約3,163.47トンで、前年比2.87%減。全体の約11%を占め、第2位となった。U.A.E.は約2,066.4トンで、前年同期比14.58%減、全体の約7.38%を占め、第3位となった。ロシアは依然としてPBRの中国最大の輸入貿易相手国である。
4月の中国の主な輸出貿易相手国は依然として東南アジアと南アジアであった。ベトナムへのPBR輸出量は4月に約6,245.66トンで、前年同月比68.13%増加。全体の30.18%を占め、第1位となった。タイ向けは5,319.42トンで、前年同月比23.84%増。中国・台湾向けは1,891.17トンで、前年同月比827.04%増となった。東南アジアの需要に牽引され、中国のPBR輸出は顕著に増加した。
【今後の見通し】
輸入: 5月から6月にかけて、中国のPBR市場価格は下落すると予想されるが、コスト面を考慮すると下落幅は小さい。輸入品によっては価格優位性があるかもしれない。また、現在のところ、輸入ルートとオーダーは安定している。従って、PBRの輸入量は5月、6月も高水準を維持する可能性が高い。しかし、中国の川下のゴム加工産業の稼働率が低下する可能性を考慮すると、6月の輸入量は減少する可能性がある。
輸出: 民間工場の再稼働に伴い、中国製PBRの潤沢な供給が見込まれることから、貿易業者やPBRメーカーは輸出に高い関心を示している。同時に、東南アジアや南アジアのタイヤ業界や製靴業界からの旺盛な需要が、今後の中国製PBR輸出の主な原動力になると予想される。