中国ではBRとSBRの輸入が輸出を上回っていたが、本年5月になり輸入が減少して輸出が増える傾向になってきた。PBRの輸入価格と中国国内価格との差が大きくなり国内品が増加し、東南アジアへの輸出が増加したことが要因に挙げられる。
SBRについては、輸入は日本・シンガポール・韓国や台湾からの価格が高く、ロシアとポーランドから価格の低いSBRが輸入されていた。この価格差は低燃費用の高性能SBRと乳化重合SBRなどの汎用タイプの割合の違いが影響していると思われる。
今後もこの傾向が強くなり中国の汎用PBRとSBRの合成ゴムの輸出は増えるであろう。
はじめに:2022年5月、中国のPBR輸入量はわずかな対前月比の増加を示したが、中国のPBR輸出量は過去最高を記録した。中国のPBR輸入量はわずかに増加したが、5月は比較的少なかった。
GACCのデータによると、2022年5月の中国のPBR輸入量は12.6ktで、対前月比が14.75%増加し、対前年比が21.28%減少した。2022年1月から5月まで、中国のPBR輸入量は合計68.4ktで、前年比17.56%減少した。
5月の中国のPBR輸入量は先月からやや増加したが、比較的低水準であった。その理由は第一に、中国の需要が低水準であったことが挙げられる。主要な用途分野であるタイヤ産業からわかるように、5月の中国のオールスチールタイヤの生産量は前年比5.42%減少し、中国のセミスチールタイヤの生産量は前年比0.61%減少した。タイヤ企業のPBRに対する需要は、在庫圧力と弱い国内需要のために減少した。第二に、国際ブタジエン価格が上昇し、人民元が米ドルに対して下落したため、PBRの輸入価格は中国製のPBRの価格よりも大幅に高く、貿易量が落ちたためである。
中国の主要な輸入先は、韓国・ロシアや日本で、輸出はインドネシア・ベトナムやタイなど東南アジアである。
韓国は中国最大のPBR輸入貿易相手国だった。 5月の韓国からの中国のPBR輸入量は4.4ktで、中国の総PBR輸入量の35%を占めている。韓国の税関のデータによると、2022年1月から5月にかけて、韓国の中国へのPBR輸出量は前年比12.9%増加し、インドネシア、ベトナム、タイへの輸出量は前年比24.4%増加した。主な理由は、東南アジアの方が中国よりもゴムの需要が高く、価格が高かったためである。また、上記の理由により、5月の中国のPBR輸出量は過去最高を記録した。
GACCのデータによると、5月の中国のPBR輸出量は16.2 ktで、対前月比が26.68%増加し、対前年比が95.08%増加した。2022年1月から5月まで、中国のPBR輸出量は合計47.3 ktで、前年比6.94%増加した。中国の輸出先のうち、ベトナムとタイへのPBRの輸出量は、5月の中国の総輸出量の約70%を占めた。
中国のゴム産業の需要の回復は比較的遅いが、中国製のPBRの供給は、明確な再開日がないまま6月に一部の中国のPBRプラントが停止するため、減少すると予想される。したがって、中国のPBR輸入量は、6月から7月にかけていくらか増加すると予測される。
はじめに:2022年5月、中国のSBR輸入量は33.5 ktで、対前月比が18.52%増加し、対前年比が2.57%増加した。中国のSBR輸出量は12ktで、対前月比が76.39%増加し、対前年比が112.4%増加した。
今後中国のSBR輸入量で対前月比と対前年比が増加するであろう。
GACCのデータによると、5月の中国のSBR輸入量は33.5ktで、対前月比が18.52%増加し、対前年比が2.57%増加した。 2022年1月から5月まで、中国のSBR輸入量は合計147.9 ktで、前年比16.58%減少した。中国のSBRの生産量と需要量については、1月から5月にかけてSBRの供給が多く、生産量は498kt、前年比14.51%増加している。需要については、中国のセミスチールタイヤの生産量は、1月から5月までの合計1億9,458万9千本で、前年比6.58%減少した。 SCIの需給データによると、1月から5月にかけて、SBRの供給は増加したが、セミスチールタイヤの生産量は大幅に減少した。中国では需給が低迷し、SBRの輸入価格が高騰したため取引は低調であった。
GACCのデータによると、5月の中国の上位5つの輸入元は、ロシア・韓国・シンガポール・ドイツ・タイであった。その中で、ロシアからの中国のSBR輸入量は最も変化し、5月には7.6ktで、対前月比が1,325.41%、対前年比が179.36%増加した。ロシアからの輸入価格は$1,436.20/ mtであり、価格の低下が中国の輸入に貢献した。 5月の貿易モード別の中国のSBR輸入は、輸入材料を用いた加工貿易による輸入量が38.26%と最も多く、一般貿易による輸入量として2位で約29%を占めた。コスト面での優位性を考えると、輸入量は安定していた。
GACCのデータによると、5月の中国のSBR輸出量は12ktで、対前月比が76.39%増加し、対前年比が112.4%増加した。 2022年1月から5月まで、中国のSBR輸出量は合計33 ktで、前年比10.15%増加した。 5月には、中国のSBR輸出量が著しく増加し、2012年以来過去最高を記録した。一方で、東南アジアの一部のゴム加工業者から注文されたSBRが、5月に連続して港に到着し、現地のゴム加工業者の稼働率は比較的安定していた。中国のSBR価格には利点があり、人民元の下落により中国のSBR輸出を促進した。
東南アジアは引き続き中国の主要な輸出先である。
5月の中国の上位5つのSBR輸出先は、タイ・ベトナム・韓国・インドネシア・マレーシアで、総輸出量は9.5ktで、中国の総SBR輸出量の80%を占めている。その中で、タイへの輸出量は、主に一部の地元のタイヤ企業で安定した稼働率の中でSBRに対する一定の需要があったため、最大であった。輸出価格に関しては、主流の輸出価格は$ 1,700-2,000/mtであった。
全体として、5月の中国のSBR供給は比較的豊富であり、価格の優位性により輸出量は過去最高を記録した。ロシアからの輸入価格の低下は、5月の輸入量の増加に貢献した。
輸入に関しては、中国のタイヤ企業は在庫と販売の圧力にさらされており、タイヤ業界の全体的な稼働率は高くない。したがって、SBRの需要はほとんど突破口を開くことはないと予測されている。全体的な外国価格が比較的高い状況で、6月から7月までの中国のSBR輸入量は、通常のレベルである28〜32ktと推定される。ただし、一部の国では価格が低いため、輸入量が通常より多くなる場合がある。輸出面では、中国は依然として輸出裁定取引の優位性を持っており、欧米、東南アジアの下流稼働率は比較的安定していると見込まれているため、SBRの需要は堅調に推移する可能性がある。中国のSBR輸出市場は、6月から7月まで継続的に改善すると予測されており、輸出量は8〜10ktと推定されている。