2021年4月以降、ブタジエンとSBRの間の価格スプレッドは114円/kg(7,000人民元/ mt)以上に拡大した。 4月下旬にブタジエンの全体的な市場価格が下落したため、両者の間の価格スプレッドは114円/kg(7,000人民元/ mt)以内に縮小し始めた。それでも、中国のブタジエン市場は依然として供給過剰に直面しており、低価格戦略だけでブタジエン市場がジレンマから逃れることは困難だ。
中国では、ブタジエンの2つの主要な生産技術がある。ブタジエンは主にC4抽出技術とブテンODH技術(酸化脱水素法)によって製造されている。現在のブタジエン価格では、ブテンODH技術によるブタジエンユニットを再起動できない。
2021年、中国のブタジエン市場は供給過剰の状態にあり、毎月一定量のブタジエンが消費されていない。統計によると、1月、2月、3月、4月のブタジエンの供給過剰はそれぞれ18kt、3kt、48kt、1ktで、合計70ktの供給過剰だった。その中で、1月と3月の供給過剰が最も明白だ。 4月には、設備のメンテナンスにより、供給過剰が減少した。5月のブタジエンの供給過剰は、設備のメンテナンスのためにそれほど多くはない。それでも、中国のブタジエン市場では、新たに生産能力が追加されたため、供給が絶えず増加している。
70ktのブタジエンの供給過剰に直面して、中国のブタジエン市場のジレンマを緩和するための戦略として以下が考えられる。
2021年1月から4月にかけて、中国のブタジエン生産量は前年比で18%急増したが、関連企業のSBRの生産量は前年比で9%しか増加しなかった。 PBRは2%前年比減少した。中国南部と中国東部の大規模な関連企業のSBRおよびPBR設備が予期せずシャットダウンしたため、供給が下った。しかし、中国のタイヤ産業は好調であったため、SBRとPBRに対する需要があった。したがって、民間の合成ゴム企業は、十分なブタジエン供給を受けて必要な製品を作ることができた。 SCIの統計によると、2021年1月から4月にかけて、民間の合成ゴム企業のSBRとPBRの製造はそれぞれ前年比で34%と25%増加し、メンテナンスと事故によって引き起こされた供給不足を十分に補った。ただし、2つの主要な関連製品であるSBRとPBRの前年比の生産は依然として低迷している。ブタジエンがより多くの民間合成ゴム企業に計画通り提供された場合、SBRおよびPBRの前年比増加生産量はブタジエンの18%増分量に相当する。
上記の戦略はすべて、ブタジエンの供給過剰を克服するために過去に使用された効果的なビジネス戦略である。しかし、ブタジエンの輸出量は不十分であるため、このジレンマを解消するためには様々な戦略を組み合わせる必要がある。
訳者注:ブタジエンはナフサをクラッキングしてエチレン、プロピレンを製造するときの複製品であるC4留分から抽出される。そのためエチレンプラントが動く限りC4留分の貯蔵量に限度があるため、ブタジエンは製造せざるを得ない。またブタジエン貯蔵能力も限られているので合成ゴムなどに加工する必要がある。また、焼却処分するとしても黒煙が発生するために容易ではない。その為、輸出ビジネスが成約する前に輸出国から出荷される場合もある。